続けられるパートを選ぼう
雇用の慣行から企業間の取引慣行、そして金融界の慣行から官界の慣行まで、この間行ってきたのは慣行の破壊であり、それが「改革」の運動であった。
しかし明らかなことは、改革にもかかわらず、いや改革が進むとともに、将来はますます見通しのないものとなり、日本経済そのものが「確信の危機」に陥っているということである。
雇用の安定か転職の自由か雇用システムに限定すれば、その慣行が、雇用の安定や継続であったことは間違いない。
そして現実には、驚くほどの強さをもって雇用の安定が維持されていたとしても、周囲を飛び交うのは、そのような確かさはもはやない、そのような慣行やシステムは崩壊したのだといった議論である。あるいは次のようにいってもよい。
現実には日本型と呼ばれるシステムは健在であるとしても、現象として現われるのは、最初に指摘したように、さまざまな制度変更である。その1つ1つを取り出すなら、それは確かに既存の制度を否定するものとみなされる。
しかし、それが現実にどのように導入され、運営されているのか、そして全体として何を目標とし、どのような方向に向かうのか、といったことに関して冷静な認識があるのではなく、ただ既存の制度や慣行は崩壊したといった議論だけが飛び交うことになる。これが現在の状態であれば、人々の不安の気分だけが高まることも不思議ではない。
その結果が安全を求めて貨幣にしがみつく、ということになるのも無理はない。ここから、見通しのなさに明確に答える議論がもてはやされるといってもよい。
つまり、先に述べた「市場型」システムへの転換を主張する議論であり、事実としても、理念としても、雇用の安定はもはや維持されないのであれば、なすべきは、それに応じた「流動型」の雇用システムへの早急な転換だというわけである。そのためには何よりも転職を促進すべきである、これによって企業の側も個人の側も、変化する環境条件に素早く対応できるのである、と。
確かに予見しうる限りの環境条件は、海外生産のさらなる展開から規制緩和に基づく国内および国際競争の一層の激化まで、産業構造の急速な変化を不可避とするものであり、それは当然、産業間および企業間の労働移動の促進を不可避とする。この意味で、転職の促進と雇用の流動化が不可避であることは間違いない。
いや、それだけではない。
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